RQFIIとQFIIの違い

中国の人民元に対する、外国人の投資制度には、QFIIとRQFIIという2種類があります。前者については、以前のページで記した通りです⇒QFIIとは

もう一方のRQFIIとは、香港市場を経由して人民元に両替し、上海や深センなど中国本土の金融商品に投資するという制度です。QFIIと同じように、中国証券監督管理委員会(CSRC)から認定を受けた、ごく一部の海外金融機関にのみ認可されます。その後、中国国家外貨管理局(SAFE)から投資枠を得た金融機関が、香港当局の承認を得て投資信託を組成するという仕組みです。

RQFIIは2011年12月から導入されており、2002年設立のQFIIに比べれば、歴史の新しい制度です。

RQFIIのメリットは、人民元へ両替する際の為替コストが安く済む事です。旧来のQFIIでは、米ドルと人民元の両替が基本条件です。従って日本人が投資する際には、一旦米ドルに交換してから、再度人民元に交換するという、2重の為替コストが掛かっていました。一方でRQFIIの場合、香港で投資枠を得た金融機関が、直接、上海や深センの株式市場へ投資するので、コストが安く済みます。

もう一つのメリットは、RQFIIは毎日本国へ送金できるという、流動性の高さです。旧来のQFII制度では、月一回の送金に限定されていたので、投資信託が売買注文に合わせて臨機応変な対応が出来ませんでした。結果、信託報酬などのコストの高さに反映され、投資利回りを下げる原因になっていました。RQFIIが拡大すれば、このようなデメリットが減少していき、中国へ投資したい外国人投資家(もちろん日本人も含む)には、朗報であると言えます。

このRQFII制度を使った金融商品として、東証にも中国A株ETFが上場しています。2013年2月末に上場した、以下の二つのETFです。

  • ChinaAMC CSI 300 Index ETF(中国A300)【証券コード:1575】
  • 南方 FTSE 中国A株50 ETF(南方A50)【証券コード:1576】

しかし、中国A300の信託報酬は0.99%、南方A50は1.15%と、ETFとしてはお世辞にも低コストとは言えません。既に上場していた、上証50ETF【証券コード:1309】の信託報酬が0.99%なので、RQFIIのメリットが十分生かせていない事が分かります。

また、流動性リスクという、大きな問題も抱えています。両ETFとも出来高が極端に少なく、酷い日には一日10株(!)という日もあります。2014年春現在の株価(300円台)で計算すると、一日の出来高はわずか3000円・・・。このように流動性の低い株を売買すれば、買う時には割高=売る時には割安になる、というスリッページ問題が発生します。

RQFIIは誕生して2年ほどであり、まだ過渡期にあります。制度に準じた金融商品もまだ少なく、あっても上記のようにデメリットを抱えたものが多いです。RQFIIの投資枠が拡大していけば、利用できる金融機関が増えて競争原理が働きますし、購入する投資家も増えてスケールメリットが大きくなるので、信託報酬はより低コストになるでしょうし、流動性リスク問題も解決するはずです。