QFIIとは?

中国の人民元投資に関する用語として、時々『QFII』という言葉を目にすると思います。QFIIとは「適格外国機関投資家(Qualified Foreign Institutional Investors)」の略で、人民元に投資が認められている海外の金融機関のことです。又は、それら金融機関が保有する、中国が認可した人民元への投資枠の事です。QFIIは2002年に設立され、中国証券監督管理委員会(CSRC)が認定します。
中国人民銀行の役割のページでも述べたように、中国政府は人民元の自由な資本移動を禁止することで、人民元の為替レートを通貨バスケット(事実上は米ドル)と固定することを可能にしています。即ち、基本的には日本や欧米の投資家が、中国国内の金融資産に投資することは不可能なのです。その例外的措置が、QFII枠を持つ機関投資家です。

※2011年末よりRQFIIという新たな制度も誕生しています⇒RQFIIとQFIIの違い

2009年時点で、QFII枠が最大なのはスイスのUBSグループの8億米ドルで、続いて米シティグループの5.5億ドル、フランスのBNPパリバの5億ドルです。日本の金融機関では、日興アセットが4.5億ドル、野村證券が3.5億ドルのQFII枠を保有しています(ソース;中国の証券市場2011年版)。

QFIIに認定された金融機関が投資できるのは、上海や深センのA株、人民元建ての社債、上場ワラント債など、中国証券監督管理委員会が定めた金融商品です。各金融機関は、この枠を使って、認可された金融商品を中国外で販売するという訳です。

例えば、2013年度から大証上場の上海株ETF【1309】が、リンク債オンリーの運用から、実際の上海A株への投資も可能にするよう、約款が変更されました。これは、ETFを運用する野村アセットが、自社の持つQFII枠を使って、実際に上海A株を調達することが可能になったからです。また、2006年頃までSBI証券で販売されていた、ドイツ銀行の人民元建て社債も、ドイツ銀行が持つQFII枠を活用した商品でした。

QFIIの認定条件は、その金融機関の営業歴と共に、総資産100億米ドル以上の銀行、運用総額100億米ドル以上の証券会社・保険会社、などとされています。欧米や日本など先進国の巨大金融機関に、部分的に人民元市場を開放することで、為替操作国であるという批判に対するガス抜きを行っている訳です。

人民元が完全な自由相場制に移行することは、少なくとも今後10年や20年では起こらないのは確実です。中国はまだまだ経済成長が必要ですし、政府も人民元の切り上げを外交カードとして利用するつもりだからです。よって、QFII枠を持ち、人民元建ての商品を提供する金融機関は、我々一般の投資家からすれば、今後も貴重な存在であり続けることになります。