中国の預金準備率推移

中国政府は、景気の調整を行う金融政策を、政策金利だけでなく、預金準備率も使ってコントロールしています。預金準備率・政策金利は共に、中央銀行である中国人民銀行が決定しています。近年の中国の預金準備率推移は、以下の通りです。2012年5月以来、預金準備率は変わっていません(2013年7月現在)。

中国の預金準備率推移グラフ

年月 預金準備率 変更幅 年月 預金準備率 変更幅
2015年2月 19.5% -0.5% --- - -
2012年5月 20.0% -0.5% 2008年6月 17.5% 1.0%
2012年2月 20.5% -0.5% 2008年5月 16.5% 0.5%
2011年11月 21.0% -0.5% 2008年4月 16.0% 0.5%
2011年6月 21.5% 0.5% 2008年3月 15.5% 0.5%
2011年5月 21.0% 0.5% 2008年1月 15.0% 0.5%
2011年4月 20.5% 0.5% 2007年12月 14.5% 1.0%
2011年3月 20.0% 0.5% 2007年11月 13.5% 0.5%
2011年2月 19.5% 0.5% 2007年10月 13.0% 0.5%
2011年1月 19.0% 0.5% 2007年9月 12.5% 0.5%
2010年12月 18.5% 0.5% 2007年8月 12.0% 0.5%
2010年11月 18.0% 0.5% 2007年6月 11.5% 0.5%
2010年11月 17.5% 0.5% 2007年5月 11.0% 0.5%
2010年5月 17.0% 0.5% 2007年4月 10.5% 0.5%
2010年2月 16.5% 0.5% 2007年2月 10.0% 0.5%
2010年1月 16.0% 0.5% 2007年1月 9.5% 0.5%
2008年12月 15.5% -0.5% 2006年11月 9.0% 0.5%
2008年11月 16.0% -1.0% 2006年8月 8.5% 0.5%
2008年10月 17.0% -0.5% 2006年7月 8.0% 0.5%

預金準備率とは、民間の銀行が国民から集めた預金のうち、中央銀行に一定割合を預け入れる事を義務付ける制度のことです。例えば預金準備率が10%の場合、民間銀行は、一般国民などから預かった預金のうちの10%を中央銀行の口座に預け入れ、その分は融資などに回せなくなる訳です。

中国の場合、例えば民間の銀行~中国工商銀行や中国農業銀行などは、預かった預金の内の上記の比率(2012年5月なら20%)を、中央銀行(中国人民銀行)に預け入れることが義務づけられるのです。即ち、残りの80%しか融資業務に回すことは出来なくなります。このように、預金準備率を引き上げれば、民間銀行の融資を抑制できるので、景気を冷やす効果があります。逆に預金準備率を引き下げれば、融資をしやすくなるので、景気を底上げする効果が生まれるのです。

近年では、先進国は預金準備率の変更による景気コントロールは、あまり行われなくなっており、日本も1991年10月に0.1%に下げられて以降、変更されていません。政策金利の変更の方が、景気に対する影響が大きいとされているからです。

しかし預金準備率の引き上げには、インフレの抑制には非常に高い効果が見込まれます。従って、インフレ率が高い新興国では有効ですが、日本やアメリカなど物価の安定した先進国では、余り有効な金融政策では無いのです。中国は不動産バブルが絶頂期にあるので、預金準備率を引き上げて、これ以上バブルが拡大するのを抑制しているのです。

リーマンショックの起きた2008年10月~12月にかけて、中国人民銀行は政策金利の引き下げと共に、預金準備率の引き下げも行い、景気の下支えに必死になりました。日本やアメリカは、政策金利が下限に達したので、量的緩和という景気浮揚の最終手段に出た訳ですが、中国はリーマンショック時にも、そこまで行う必要は無く、政策金利と預金準備率の引き下げで、景気減速を抑制したのです。